たばこ

シガレットがファスト・フードなら、シガーはスロー・フードだ

「喫煙を受容しうる社会システムの研究」の第4回。本日のゲスト・スピーカーは東京大学大学院法学政治学研究科教授・井上達夫さん。大学時代は3年間で博士論文を書かなければならないという激しいプレッシャーのために、チェーンスモーカーだったそうだが、それを終えて解放されたら、すっかりたばこ嫌いになっていた。25歳で「離煙」(!?)し、以来25年間は「蔑煙」期。ところが、50歳になったのをきっかけにシガーと出会い、「復煙」。今は、優雅にシガー・ライフを愉しんでいるという。こうした自分史を手がかりに、「嫌煙の心理と論理」、「喫煙者と非喫煙者の共生の作法」をお話いただいた。フーコーの「快楽の活用」「自己への配慮」を参照しつつ、禁欲は欲望をより深いものにするのであれば、充足的喫煙という方法もありうるのではないか。つまり、シガレットをのべつまくなしに口にくわえているよりは、1本のシガーを特定の場所でゆっくりと時間をかけて吸う。こうしたたばこの愉しみ方もあるのではないかという。要は、たばこを「嗜む」こと。これもまたたばこ文化の創造につながってくる提案だろう。そのためには、1本千円のたばこを売り出してもいい。ハイクオリティを売りにして。このアイデア、ぼくもずいぶん前に冗談まじりでTASCに言ったことがある。一笑に付されたけれど。案外いいかもしれないですぞ。シガレットがファスト・フードなら、シガーはスロー・フード。ROHAS的たばこって面白くないか。

喫煙は宗教的儀礼なのだ

「喫煙を受容しうる社会的システムの研究」研究会の3回目。ゲストスピーカーに早稲田大学教育・総合科学学術院教授・若林幹夫さん。初期シカゴ学派の生態学的都市像からの示唆を受けた提案、また、たばこを野蛮なものとする現代社会の深層の解明という大変刺激的な発表をされました。その詳細はマル秘なので残念ながらお伝えできませんが、ひとつだけ面白いネタを。研究員の先生から、「たばこはもともと神聖なものだったのに、世俗化してしまったからこんなにたたかれるようになったわけで、いっそもう一度神聖化させたらいいんじゃないか」と言う意見が出されると、すかさず、「喫煙を宗教的儀礼にして、JTもいっそ宗教法人にしたらいい」と若林さん。一同大笑いになったのですが、これけっこういいかもとマジに反応したひとが一人いました。誰かって? もちろん僕ですよ。

たばこ好きの国王がたばこ販売をやめた理由

TASCの講演会へ。国立民俗学博物館名誉教授・栗田靖之さんの「たばこ販売禁止に踏み切った国ブータン」と元駐スペイン国大使・林屋栄吉さんの「スペインとたばこと私」。ブータンは、2004年12月17日国内でのたばこの販売を禁止しました。ブータンは人口50万人のうち喫煙者はわずか1パーセントしかいないという非喫煙国。それなのに、なぜ世界初ともいえる販売禁止という厳しい規制を行うに至ったのでしょうか。結論からいうと、仏教の影響で禁煙が定着している中で、都市部の若者を中心に喫煙者が増えてきたため。ブータンでは、GNPに対抗して、国民総幸福(GNH=Gross National Happiness)を提唱しています。健康を維持することが幸福につながると考え、結果、病気の原因となるたばこは禁止すべし、ということになったというのです。GNHの考えは、とても面白い概念だけど、そもそも幸福を量ではかることができるのかどうかという根本的な疑問があります。精神的な幸福感を最も上位に置く仏教国だからこそ通用する概念で、普遍性はもちにくいと思うけど。そうやって販売を全面禁止したのに、仕掛人の国王はというと大の喫煙擁護派。喫煙を今でも続けていると公言しているとか。こういう話、僕は大好きですね。
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たばこ好きの国王がたばこ販売をやめた理由

TASCの講演会へ。国立民俗学博物館名誉教授・栗田靖之さんの「たばこ販売禁止に踏み切った国ブータン」と元駐スペイン国大使・林屋栄吉さんの「スペインとたばこと私」。ブータンは、2004年12月17日国内でのたばこの販売を禁止しました。ブータンは人口50万人のうち喫煙者はわずか1パーセントしかいないという非喫煙国。それなのに、なぜ世界初ともいえる販売禁止という厳しい規制を行うに至ったのでしょうか。結論からいうと、仏教の影響で禁煙が定着している中で、都市部の若者を中心に喫煙者が増えてきたため。ブータンでは、GNPに対抗して、国民総幸福(GNH=Gross National Happiness)を提唱しています。健康を維持することが幸福につながると考え、結果、病気の原因となるたばこは禁止すべし、ということになったというのです。GNHの考えは、とても面白い概念だけど、そもそも幸福を量ではかることができるのかどうかという根本的な疑問があります。精神的な幸福感を最も上位に置く仏教国だからこそ通用する概念で、普遍性はもちにくいと思うけど。そうやって販売を全面禁止したのに、仕掛人の国王はというと大の喫煙擁護派。喫煙を今でも続けていると公言しているとか。こういう話、僕は大好きですね。
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南博さんの"くわえたばこ"はかっこいい

「菊池成孔Duo 3days」の一日目、南博(p)さんとの演奏を見に新宿Pit innへ。イタメシしていて遅れしまい立ち見になってしまった。さて、演奏はすばらしかった。スタンダードばかり。菊池さんの吹くチャールス・ミンガス、コール・ポーター、ジョージ・ガーシュイン、ビリー・ストレイホーンもいいが、やはり南博さんのピアノがいい。自由でかつ変化に富みそれでいてこの上なく甘美。ふしぎな間と抑揚。ジャズピアノのがこんなに面白いとはおもわなかった。休憩をはさんで2セット。アンコールもやっておおいに堪能した。あいかわらず菊池さんはMCが長い。南さんがね、「いっそ小泉は毎日靖国神社に参拝すればいい。それを散歩という」って紹介して会場を大いに湧かせたが、それにしても長い。しゃべり過ぎ。それを期待している女性菊池信者も多いのだからしかたがないか。それはともかく、南さん演奏しながらとってもおいしそうにたばこを吸っていたのが印象的だった。たばこを譜面と一緒にピアノの譜面台において、演奏の合間や演奏中にさっと火をつける。これがなかなかにシャレている。やはり、JAZZには紫煙がよく似合う。授業をフケて下高井戸のJAZZ喫茶でコーヒー一杯とハイライトですごした高校時代のことがふと脳裏をよぎった。ビル・エバンスのピアノがまたたばこの香りによくマッチングしたよな、なんて不良高校生(当時)は思うのでした。ライターの(といっても書き手の方)O城さんも見にきてました。

サモンの「統計的関連性」は使える

戸田山和久さんの『科学哲学の冒険』を読む。サモンという科学哲学者に「統計的関連性」という概念があることを初めて知った。統計的関連性が強くあるとしても、両者に因果関係があるとは限らないというのが、この概念の趣旨である。たばこの疫学調査に対する疑義を考える切り口として、これはかなり使えるのではないかと思う。

科学哲学の冒険―サイエンスの目的と方法をさぐる

喫煙天国、再び

日比谷野音へ。ROVOがオーガナイズする「マン・ドライヴ・トランス」の3年目。今年は、天気もいいし、格好の野外ライブ日和。続きを読む

moe.のライブは、喫煙天国だ!!

リキッドルームへ。外観はそんなに大きく見えないのに、中は広い。タワー・カフェにたくさんの若者。ラウンジ風なこんな場所をもっているのが、新生リキッドルームの特徴か。すぐに会場に。さて6時よりスタート。続きを読む
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