昨日のつづき。
銀座グラフィック・ギャラリーで「杉浦康平さんの展覧会「疾風迅雷 雑誌デザインの半世紀」を見る。会場に入ると、『パイデイア』『エピステーメー』『遊』『銀花』などが並んでいる。『銀花』以外はほとんど所有している(別のBlogで以前に紹介ずみ)。偶然会場にいらしていたモリサワの池田さんに自慢した。巨大なエピステーメーの模型(実物よりはるかに大きいからモックアップとはいわないか)の展示が眼を惹いた。B1を見ると、『噂の真相』の休刊カウントダウンの表紙が順番に並んでいる。こうして系統づけて見直してみると、個人的には『噂の真相』が最も面白かったような気がした。杉浦さんのデザインは、社会やジャーナリズムといったものとの方がより共振するのではないか。ものすごいエネルギーがほとばしっているように見えたのだ。
夜は、塩事業センターの石毛直道講演会「塩味の民俗学…しょっぱいはおいしい」を聴講する。石毛先生とは、過去に、雪印の『SNOW』誌の連載企画で約3年近くお世話になり、また玉村豊男さんとのロング対談、さらには、『談』で樺山紘一さんとの対談、芳賀徹さんとの対談などにご参加いただいた。今回は、塩の味についてお話されるというので出向いたわけだ。
豊富なフィールドワークをもとに塩にまつわる面白い話を沢山紹介されたが、やはり、最も刺激を受けたのは先生の塩=嗜好品説。先生は、塩は人類にとって生理的に必要なのではなく、むしろ嗜好品として、おいしいものを食べたいという欲求から利用するようになったのではないかというのである。つまり、塩味嗜好とは、いわば文化として育ってきたものではないかというわけだ。健康指向によって、食べることはすなわち適切に栄養を得ること、という考えが広まってる。 PC (politically correct)にならって、この傾向をもう一つのPC(physical correct=生理学的に正しい)と呼ぶならば、嗜好品として塩味を捉え直すという視点は、PCの呪縛から塩を解放することにつながるのではないか、と思ったのだが、やはりこれはまたしても編集子の過激発言ととられてしまうおそれあり。