来週「en」で木田元先生にインタビューをするんで、先生の著作を読んでいます。先生は、『現象学』(岩波新書)、『メルロ=ポンティの思想』(岩波書店)、『ハイデガー』(岩波現代文庫)といった論文集ばかりではなく、『闇屋になりそこねた哲学者』(みすず書房)とか『哲学以外』(みすず書房)といったエッセイ集も何冊か出されています。じつは、こっちの方もなかなかに楽しい。先生は戦後ほんとに闇屋をやっていて、けっこうなぼろ儲けをしたようですが、それで一家を支えていらっしゃったのだそうです。ところが、『存在と時間』に出会ってしまって、どうしてもこれを読み終えなければならないと決意されて、哲学を始められたというのです。やはり、非凡な人は何かがちがいます。ところで、『哲学以外』にこんなエピソードがありました。プラトンはじつはあだ名で、本名はアリストクレス。〈プラトン〉は〈幅が広い〉という意味の形容詞〈プラテュス〉からつくられた名詞。だから、プラトンはさしづめ〈ひろし〉さんといったところだと先生はおっしゃいます。なんか愉快な話だと思いませんか。