書店販売に先立ち、一足先に『談』ウェブサイトでは、各インタビュー者のアブストラクトとeditor’s noteを公開します。
右のメニューバーの最新号、no118号の表紙をクリックしてください。
人間以後の「人間の条件」を考える
人間以後の〈人間〉、もしくはポストヒューマニティ 。「超人類」という言葉と共に登場したこの言葉を昨今よく耳にするようになりました。一見センセーショナルにも聞こえますが、その含意は、いたって真っ当です。高度の情報技術によって人間が有限性を超越する可能性を多幸症的に思い描くことでもなければ、逆に、生命科学による介入が人間性を脅かすといたずらに警告することでもありません。『ポストヒューマン 新しい人文学に向けて』(フィルムアート社)の著者R・ブライドッティによれば、「ポストヒューマニティ」は人間という存在をこれまで規定してきた諸前提、すなわち西洋、白人、男性中心主義的な人間観を厳しく批判するための概念であり、いささかも気を衒った言辞ではないと言っています。現代のグローバルな地政学的状況のもとでは、そうしたこれまでの人間理解を破棄し、新たな視点から描き直す必要がある。まさにそのための概念が「人間以後の〈人間〉」であり「ポストヒューマニティ」だというのです。
『談』は、これから3回にわたって「人間以後の〈人間〉」もしくは「ポストヒューマニティ」について特集します。今号はその第1回「成熟の年齢」です。
〈未成熟な大人〉
「ある日気がついたら前より少し大人になっていた」という他ないような経験が成熟であり、その意味で成熟は、回顧的・事後的発見というプロセスをたどるものです。成熟には、ある種の困難さがつきまとう。けれども、まさにそれこそが成熟というものの本質であり、それゆえにあえて困難な成熟の道を選ぶ必要があるというのです。あえて困難な成熟の道を選ぶこと。それはいかにして可能か。『困難な成熟』の著者内田樹氏が論じます。
〈ライフ・ヒストリー・ストラテジーから成熟を捉える〉
ヒトは他の動物に比べて離乳は早いけれど、大人としてのからだができあがるのは著しく遅いうえに、社会的な技術を習得するのにも長い時間がかかる生きものなのです 。一筋縄では理解できない生きものであるヒトにとって、成熟とはどういう意味をもつのでしょうか。自然人類学、行動生物学の研究者、総合研究大学院大学学長・長谷川眞理子氏が考察します。
〈複数種的視点からみた成熟〉
マルチスピーシーズ民族誌/人類学は、人間と特定の他種との3+n者の「絡まり合い」とともに、複数種が「ともに生きる」ことを強調します。人間中心主義的視点から脱して、マルチスピーシーズ民族誌/人類学の視点に立つと、人間を含めた生きものの成長および成熟は、どのように捉えられるのでしょうか。立教大学異文化コミュニケーション学部異文化コミュニケーション学科教授でマルチスピーシーズ民族誌/人類学を研究する奥野克巳氏が検討します。
写真家・新井卓の撮り下ろし最新作「路上で」を同時掲載。
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人間以後の「人間の条件」を考える
人間以後の〈人間〉、もしくはポストヒューマニティ 。「超人類」という言葉と共に登場したこの言葉を昨今よく耳にするようになりました。一見センセーショナルにも聞こえますが、その含意は、いたって真っ当です。高度の情報技術によって人間が有限性を超越する可能性を多幸症的に思い描くことでもなければ、逆に、生命科学による介入が人間性を脅かすといたずらに警告することでもありません。『ポストヒューマン 新しい人文学に向けて』(フィルムアート社)の著者R・ブライドッティによれば、「ポストヒューマニティ」は人間という存在をこれまで規定してきた諸前提、すなわち西洋、白人、男性中心主義的な人間観を厳しく批判するための概念であり、いささかも気を衒った言辞ではないと言っています。現代のグローバルな地政学的状況のもとでは、そうしたこれまでの人間理解を破棄し、新たな視点から描き直す必要がある。まさにそのための概念が「人間以後の〈人間〉」であり「ポストヒューマニティ」だというのです。
『談』は、これから3回にわたって「人間以後の〈人間〉」もしくは「ポストヒューマニティ」について特集します。今号はその第1回「成熟の年齢」です。
〈未成熟な大人〉
「ある日気がついたら前より少し大人になっていた」という他ないような経験が成熟であり、その意味で成熟は、回顧的・事後的発見というプロセスをたどるものです。成熟には、ある種の困難さがつきまとう。けれども、まさにそれこそが成熟というものの本質であり、それゆえにあえて困難な成熟の道を選ぶ必要があるというのです。あえて困難な成熟の道を選ぶこと。それはいかにして可能か。『困難な成熟』の著者内田樹氏が論じます。
〈ライフ・ヒストリー・ストラテジーから成熟を捉える〉
ヒトは他の動物に比べて離乳は早いけれど、大人としてのからだができあがるのは著しく遅いうえに、社会的な技術を習得するのにも長い時間がかかる生きものなのです 。一筋縄では理解できない生きものであるヒトにとって、成熟とはどういう意味をもつのでしょうか。自然人類学、行動生物学の研究者、総合研究大学院大学学長・長谷川眞理子氏が考察します。
〈複数種的視点からみた成熟〉
マルチスピーシーズ民族誌/人類学は、人間と特定の他種との3+n者の「絡まり合い」とともに、複数種が「ともに生きる」ことを強調します。人間中心主義的視点から脱して、マルチスピーシーズ民族誌/人類学の視点に立つと、人間を含めた生きものの成長および成熟は、どのように捉えられるのでしょうか。立教大学異文化コミュニケーション学部異文化コミュニケーション学科教授でマルチスピーシーズ民族誌/人類学を研究する奥野克巳氏が検討します。
写真家・新井卓の撮り下ろし最新作「路上で」を同時掲載。
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