みやび出版より21世紀スポーツ文化研究所編『スポートロジイ 第2号』を贈呈していいただきました。
『スポートロジイ』は、『談』で何度もお世話になっている稲垣正浩先生が立ち上げられた〈ISC・21〉21世紀スポーツ文化研究所の理念を担う年刊誌です。第2号の特集は、〈ISC・21〉がここ数年にわたって取り組んでこられた研究テーマ「グローバリゼーションと伝統スポーツ」と「ドーピング問題」です。両特集に収められている論考は、現代のスポーツ状況を捉えるうえで、必読となる貴重なものです。とくに後者のフランスの哲学者パスカル・ヌーヴェルによるドーピング問題の革新に触れる論考は、ぜひとも読んでもらいたいもの。稲垣先生曰く、アンチ・ドーピング運動の正当性が根底から揺さぶられる問題提起となっています。本書には、他に西谷修氏の寄稿「〈自由主義〉の文明史的由来----ナオミ・クライン『ショック・ドクトリン』から----」と稲垣先生の研究ノート「スポーツの〈始原〉について考える----ジョルジュ・バタイユの思想を手がかりにして----」が収録されています。われわれにとって、「スポーツとは何か」という根源的な問いに応えようというもので、ひとりスポーツだけではなく、人間とは何かというより大きな問題系に接続する意欲作です。先生のブログでは読んでいたものの、こうして一つの文章としてまとまると、いよいよこの論考のもつすさまじさがわかってきます。僕からいうのもなんですが、これだけを読むのでも十分元がとれると思います。
スポートロジイ〈第2号(2013)〉特集1・グローバリゼーションと伝統スポーツ、特集2・ドーピング問題を考える
スポートロジイ〈第2号(2013)〉特集1・グローバリゼーションと伝統スポーツ、特集2・ドーピング問題を考える [単行本]