社会学者・大澤真幸さんの新刊『夢よりも深い覚醒へ 3・11後の哲学』(岩波新書)を岩波書店より贈呈いただきました。
大澤さんはあとがきにこう記しています。
「2011年3月11日に端を発して出来事  東日本大震災と原発事故  をきっかけにして考えたこと、考えさせられたこと、われわれ(の社会)について考えざるをえなかったことを記してある。とはいえ、「日本の原子力発電所をどうするか」は<…>本書の主題ではない。
われわれに特別の衝撃を与える出来事は常に、「それ以上のもの」としてたち現われる。原発事故にわれわれが非常なショックを受けたのは、それが「防波堤の設置についての手抜かり」や「日本の電力供給システムの失敗」を超えた何かを意味していると感じられたからである。
こういうとき、われわれは、その「超えた何か」「それ以上のもの」を言葉にし、それに対応したことを要求すべきではないだろうか。3・11の出来事を媒介にして、「東北地方の復興」や「日本の電力供給システムの改良」以上のことを  いっさいの妥協なしに〈すべて〉を  要求すべきではなかろうか。その〈すべてが〉何であるかを考察すること、これが本書のねらいであった」。
タイトルは、見田宗介氏の言葉だそうで、大澤氏によれば、3・11が現実を切り裂く(悪)夢のように体験であったとすれば、われわれがすべきは、その夢から現実へと覚醒するのではなく、夢により深く内在するようにして覚醒することではないかという意味が込められているといいいます。
ちなみに、帯にあしらわれた著者のポートレイトの撮影者は新井卓さん。『談』no.90のシンポジウムの際に撮影されたものです。
夢よりも深い覚醒へ――3・11後の哲学 (岩波新書)
夢よりも深い覚醒へ――3・11後の哲学 (岩波新書)
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