『談』でガタリの現代的意味を語っていただいた杉村昌昭さんの最新訳書が昨年末に発刊された。ドゥルーズの愛弟子ジャン=クレ・マルタンの『フェルメールとスピノザ 〈永遠〉の公式』。フェルメールの描いた『天文学者』のモデルはスピノザではないかという仮説をもとに、スピノザとフェルメールの世界観、また、その共通性を炙り出すという意欲的な一書。この仮説は以前からささやかれていたことなので、正直それほど驚きはなかった。が、スピノザ思想の核心であるコナトゥスについて、フェルメールの絵画を媒介にすると、こんなにわかりやすくなるとは、むしろそっちに驚いた。前著のゴッホ論でいかんなく発揮された現代思想をサスペンスとして語る手法。今回も成功していると思う。日本人のフェルメール好きはつとに有名だが、そんなフェルメールファンにも面白く読める一書だ。今、東京で開催されている「フェルメールからのラブレター展」では「手紙を書く女」他2点が来日中。ちなみに、「手紙を書く女」を見れば17点。僕のフェルメール全踏破の目標は、やっと半分だ。

フェルメールとスピノザ 〈永遠〉の公式
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