神戸文化ホールで開催された「第10回日本認知運動療法研究会学術集会」に参加した。ちょうど2000年第1回の大会がやはり神戸で開かれたが、その時の会員は200名。それが今年、2000人に膨れ上がったという。申し訳ないけれど、小さな集会程度と思っていたので、ホールエントランスをうめつくす人々に、正直たいそう面食らった。会場ではじめて宮本省三さんにおめにかかる。挨拶を交わし、いざホールへ。学術集会長・高木昭彦さんの話のあと 、『壊れた脳 生存する知』の著者・山田規畝子さんの招待講演。その後、パネリストを交えディスカッション。認知運動療法の体験者でもある山田さん。高次機能障害を当事者の側からその世界を語り、また、認知運動療法のリハビリを受ける側から語る。とくに、ディスカッションでは、山田さんは左半身に麻痺があり、それまで左を無視する生活が続きイヤなことも体験された。それが、リハビリの過程で、自分で自分の身体を意識する練習を重ねることで、身体の左側が自分であることを獲得していく。今まで自分のものでなかった身体の半分を、自分の身体として意識できるようになっていく、そのプロセスをまさに生きる身体として語るその姿に、僕は驚かされた。認知機能における右と左の問題、これは自然界における対称性の崩れの問題に直結する。すごく密度の高いディスカッションになった。昼食後、講師控え室で河本先生と宮本先生で12日の件の打ち合せ。一般演題(ポスターセッション)会場に行ってぶったまげた、ものすごい人なのだ。それも学生が多い。こういう若い連中が今リハビリの現場で研究と実践に励んでいるのか。今、知というものはどうもこいうところにあるらしい。午後にもう一つ「我々の臨床は変革できるのか」というシンボジウム。そして。本日のフィナーレを飾ったのが河本先生の映像+パフォーマンス作品。認知の樹プロジェクト「ディア・インディヴィジュアル」。レセプションパーティーで、パフォーマンス(朗読)で参加された人見真理さんを紹介していただく。『現代思想』別冊「メルロ・ポンティ」特集で「「ゼロのキネステーゼ」 までに 脳性麻痺児の身体」を書かれた女性。いずれ河本・人見対談を実現させたいと思った。学術集会は明日もあるのだが、僕は最終で帰宅する。