フレデリック・パールズ著『記憶のゴミ箱 パールズによるパールズのゲシュタルトセラピー』(新曜社)を訳者・原田成志さんより贈呈していただく。ゲシュタルトセラピーは、フリッツ(フレデリック)・パールズ、ローラ・パールズ、ポール・グッドマンによってつくられた理論で、名称が示すように、ウェルトハイマーやゴルドシュタインのゲシュタルト心理学から強い影響を受けている。1952年にニューヨーク・ゲシュタルト研究所が設立され、本格的な研究が開始されたという。本書は、創始者の一人パールズの自伝である。自伝というかたちをとりながら、ゲシュタルトセラピー誕生とその深化の過程が明らかにされている。とくに、内部領域、中間領域、外部領域での気づきやコンタクトの理論、4つの抵抗システム、投影、取り込み、反転行為、融合といったゲシュタルトセラピーの基本理論が丁寧に解釈されていて、ゲシュタルトセラピーの入門書としても読むことができる。とりわけ、自身の癖や性格をあからさまにしたうえで,それをゲシュタルトセラピーによって分析・解決するという構成になっているところがユニークなところだ。ところどころに詩が効果的に使われ、ふんだんに使用されているイラストが親しみをもたせる。近年ゲシュタルトセラピーへの関心が再び高まっているという。今後の動向を知るうえでも、本書は格好のテキストとなるだろう。


記憶のゴミ箱?パールズによるパールズのゲシュタルトセラピー
記憶のゴミ箱?パールズによるパールズのゲシュタルトセラピー
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