京都へ。立命館大学大学院先端総合研究科後藤玲子教授にインタビュー。テーマは、「〈生存〉、潜在能力アプローチから考える」。アイザイア・バーリンは自由には積極的自由と消極的自由があると分類して、自由の平等な保証は、消極的自由に限定すべきだと主張した。それに対して、アマルティ・センは、むしろ積極的自由の概念に着目する。センによれば、自由とは「本人が価値をおく理由のある生を生きられる」ことを意味し、「自己にも他者にもその理由をつまびらかにしながら、ある生を価値あるものとして選び取っていくという個人の主体的かつ社会的な営みが、実質的に可能であることを意味する」という。後藤玲子氏は、「このような広義の自由を人々に平等に保障すること、そのために必要な制度的な諸条件の整備……生存を支える物質的手段の保障から個人の主体的な生を支える社会的諸関係や精神的・文化的諸手段を整えることまで……を的(object)とした」として、センの経済学において、「自由」がキー概念になると指摘する。経済システムの分析・評価・構築にあたっては、広義の意味での自由の保障……意思・利益・評価主体である個人を尊重すること……を外的視点として明示的に導入すること。センの経済学の中心にある社会的選択理論&潜在能力アプローチの重要性は、まさにその「自由」の概念にあるというのだ。人間における生存とは、また、その条件とは何か、アマルティ・センの思想をたどりつつ考察していただいた。
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