玉川大学文学部教授岡本裕一朗先生から、ご著書『ヘーゲルと現代思想の臨界-- ポストモダンのフクロウたち』(ナカニシヤ出版)を贈呈していただきました。
しかし、なぜ今ヘーゲルなのか。岡本氏は、「はじめに」でこう記しています。「それは、ヘーゲルが今日的な意義をもっているからだ。ヘーゲルの考えでは、〈哲学〉は、〈自分の時代を思想の形で捉えたもの〉だが、ヘーゲルの捉えた時代は今でも決定的な作用を及ぼしている。〈ポストモダン〉と呼ばれる現代においても、ヘーゲルの考えは有効性は失っていない」。現代思想は、一般にヘーゲルの外で思考することだと思われているけれども、よくよく考えてみると、ヘーゲルの影響が陰に陽に現われていて、現代思想はヘーゲルの亡霊(ガイスト)にたえず付きまとわれ、それを必死で振り払おうとしているようにすらみえるという。現実と対決するために、今こそ、ヘーゲルは読み直されなければいけないだろうというのです。歴史的な、つまり過去の大哲学者としててはなく、むしろ現代思想家として読むこと。そうすることで、ヘーゲル哲学のアクチュアリティを見出すことができるという。
全体の構成は、第I部「『精神現象学』の神話」第II部「〈体系〉神話とヘーゲル神話」第III部「現代思想を生きるヘーゲル」ときて、最終章でヘーゲルの「絶対知」は、つねに現代思想であり、「フクロウ」が飛び立つのは、「きたるべき未来」へ向けてであるという言葉で締められる。
本書は、専門的な研究書ではなく、あくまで入門書だと断っていますが、まともにヘーゲルとつきあってこなかった者にとっては、『大論理学』におとらぬ大著です。先生には申し訳ないのですが、ゆっくり、じっくりと、時間をかけて読ませていただきます。

ヘーゲルと現代思想の臨界?ポストモダンのフクロウたち
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