とある場所で、『engine』の外車特集を舐めるように読んでしまう。モーター・ジャーナリストたちは、みな、特徴的なエクリチュールをもっている。極端にスペックに凝ったりほとんどジャーゴンのような技術周りのネタをばんばん出しつつ、なぜか文体はきわめてカルい。そもそもクルマ雑誌というのが独特だ。タイトルや中見出しは単純にキャッチー。広告がしっかり入っているからゴーカで、みるからに金がかかっているぞという顔をしている。部数はどのくらい出ているのか。そんなにエンスーっているのか。まったく不思議ばっかりの媒体だ。 ずっと昔、編集長の鈴木正文さんにある座談会に出てもらったことがある。おしゃれで、ダンディ、でも、ちょっぴりひねたオヤジだった。全共闘時代には、ミニにのって闘争に行ってたというから笑える。たぶん、中世の騎士道を気取っていたんだろうな。いや、もしかするとドン・キホーテ?