TXで柏の葉キャンパス駅で下車し、タクシーで東京大学新領域創成科学研究科教授大野秀敏先生の研究室へ。大野先生は、一昨年都市のシュリンキングを見据えて「ファイバーシティ2050」という構想を提案された。そこで、先生の見ている都市の縮小のイメージと、その事態を逆手にとり、一種の好機と捉え直して豊かな都市環境づくりについてお話してもらおうと思ったのだ。
都市の縮小、都市の縮退が現実のものになろうとしている今、これまでの都市計画、都市開発は根本から方向転換を余儀なくされている。都市は成長・発展するものというこれまで自明とされてきた前提が崩れたからだ。50年後には、4000万人近い人口減が予想されている。都市から人がいなくなるという。ともすると悲観的にならざるをえない未来に対して、縮小という新たな事態をむしろ積極的に活かしたまちづくりの方法があるはずで、それを絵にしてみせてくれたのが「ファイバーシティ2050」であった。丹下健三の「東京計画1960」以来、大都市を対象とした都市計画が提案されることがなかったが、「ファイバーシティ2050」は、ひさかたぶりに発表されたいわば大文字の都市のグランドデザインとなった。
今日のインタビューは、具体的な手法、モデルプランとして紹介されることが多かった「ファイバーシティ2050」を、むしろ思想的な側面からスポットをあてて、パラダイムシフトとしての意味を語っていただいた。短いインタビューではあったが、シュリンキングと都市の新たな関係を考えるための、貴重な提言となったと思う。