昭和歌謡の連載を企画。「精選盤 昭和の流行歌」(CD15枚ボックスセット)、「青春唄年鑑」50年代、60年代、70年代、「昭和歌謡歌合戦」昭和30年代、昭和40年代などを引っ張り出して、たばこの出てくる歌謡曲をpickupしてみました。昭和歌謡といえば、涙、港、たばこは、もっともよく使われる言葉といわれていますが、いわゆるヒット曲となると思ったほどは多くない。それでも、瞬く間に12曲が集まりました。年代順に紹介しましょう。岡晴夫「上海の花売り娘」、菊池章子「星の流れに」、敷島昇、二葉あき子、伊藤久男(夢の共演!!)「僕は特急の機関士で 九州巡りの巻」、曽根史郎「若いお巡りさん」、沢たまき「ベッドで煙草を吸わないで」、いしだあゆみ「ブルーライトヨコハマ」、菅原洋一「今日でお別れ」、佐良直美「いいじゃないの幸せならば」、五木ひろし「よこはま・たそがれ」、五輪真弓「煙草のけむり」、中条きよし「うそ」、小坂恭子「想い出まくら」。
もちろん、どの曲も知っていますが、意外な発見もありました。「もしもし ベンチでささやく お二人さん」から始まる「若いお巡りさん」の4番。「もしもし たばこをください お譲さん 今日は非番の 日曜日 職務訊問 警棒忘れ あなたとゆっくり 遊びたい 鎌倉あたりは どうでしょうか 浜辺のロマンス パトロール」とあります。昭和31年のヒット曲ですが、当時の警察官は、なんと若い女性にもらいたばこしている、もう、びっくり仰天。そんな時代があったのかと。まさかそんなわけはないでしょう。「看板娘のいるたばこ屋さんでたばこを買っているんだよ」とTASCのTさん。確かに、そうですよね。いくら、国民に愛されるお巡りさんをアピールしようと躍起だった時代とはいえ、もらいたばこだなんて、ねぇ。第一若い女性の喫煙率は、今よりずっと低かったはずですし。
それでも、この歌詞、何度か読み返してみると、やっぱりちょっとへんです。「もらいたばこ」説を否定できない何かが聴こえてくる。じつに、不思議な唄です。
それはともかく、しばらくのあいだ、昭和歌謡とたばこの関わりを考えてみようと思っています。