京王線高幡不動駅へ。S嬢と地図研究家・今尾恵介さんを訪ねる。今日は、地図から見る都市の話。地図をじっと見ていると町にはそれぞれ顔があることがわかってくるという。どんな顔をしているのか、それを知ることが地図を見る楽しみでもあるというわけだ。また、地図をみていると、町の骨が見えてくる。その骨が時代とともに変わっていく。もう一つ地図の面白いところは、普通は町との関係であまり論じられることのない特殊な都市施設が地図上に浮上してくることだ。たとえば遊郭。都市のはずれの田んぼの真ん中に、四角い形をしたかなり広い妙な土地がある。じつは、それが遊郭の跡地なのだ。それに注目すると、他の町にも同じような四角い土地があるのがわかる。たいていは、町のはずれ。かつて、豊橋には終点が遊郭という路面電車が走っていたという。四角い土地に向かって一本の道が走っている。明治期、昭和30年代、現代、と三種類並べただけで、その土地の変貌ぶりがわかる。インタビュー終了後、万願寺からモノレールで立川へ出る。途中土方歳三の生家(資料館)を見る。モノレールから見下ろす町の風景はなかなかいいものだ。高さが中途半端に高いところがいい。玉川上水を渡る。立川はすごいことになっていた。ペデストリアンデッキが南口と北口を結び、さらにいくつもの大規模建築と結合し、巨大再開発地域「ファーレ立川」ともつながっている。一通り歩いてみた。悪くはないが、じゃぁいいか、といわれると素直にうんとはいえない。「ファーレ立川」は、これまでサーベイした諸外国の新市街地とどこかがちょっとずつ似ている。ここはリール、ここはケルンメディアセンター、ここはマイアミ、ここはボストン…という具合に。しかし、いくら町がきれいになっても、集う人々のたたずまいはそう簡単に変わるものではない。若い女性たちのファッションは渋谷のそれと変わらない。しかし、どこかが微妙に違う。やたらと大学生が目立つ。あの「幻の郊外」の典型を見た思い。『city&life』で、立川、町田、大宮を比較するというのはどうだろうか。企画が一つできた。帰りに荻窪へ。高校の時の友人がおでんや「麒麟庭」を開いた。カウンター席6席の小さなお店。30年ぶりの再会となったMくんや一緒にCSN&YのコピーをやったH君、遠距離なんとかだったMさん、そしておんな友だちというのが最も相応しいNさん。店主のS君はカウンターの向こう側だったけれど、楽しい集いとなった。時間を超えて、居場所ができるというのはとてもいい。都市も同じ。過去や歴史や時間を超えて、その人にとっての居場所になれる場があることが大切なんだと、あらためて実感。
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