TXでつくばへ。筑波大学大学院人間総合化学研究科芸術学系准教授・渡和由さんにインタビュー。『吉祥寺スタイル』の共著者です。吉祥寺に興味をもって『city&life』で特集を組んだり、エンタメ・ビジネス論でサーベイしたりしていますが、この本を店頭で発見した時は、これだ!って思いましたね。なぜ、吉祥寺が魅力的なのか、ここにはその秘密が惜しげもなく紹介されています。
渡さんは、環境デザイン、サイトプランニングがご専門。ジム・ヴァンダーリンの「アーバン・エコトーン」の紹介者でもあります。吉祥寺にこのアーバン・エコトーンをあてはめてみると、みごとにそこによりよい街の遺伝子が散見できたのです。よりよい街の遺伝子とは、過去に遡って生態学的にいい街といわれていた街の条件や特質のことです。最近注目されているニューアーバニズムのモデルであるいわゆる「old town」の条件が、吉祥寺にはみんな揃っているということがわかったのです。もちろんここでいう生態学とは、手あかのついたエコロジーという意味だけではなく、ギブソンのアフォーダンス(エコロジカル・サイコロジー)やガタリのエコゾフィーの意味も含んでいるものです。
私見ですが、吉祥寺はたまたま奇跡的にうまく当てはまったともいえます。どのまちにも応用できるというものではないでしょうし、まして、それを計画的につくりだすというのは用意ではありません。それこそ奇跡でもおこらないとムリなような気はするのですが、そこで地団駄を踏んでいてもしょうがありません。渡さんも、次なる吉祥寺をすでに発見して、プロジェクトを初めておられるようです。ぼくらも、頑張って、街のよりよい遺伝子探しに出発しましょう。

吉祥寺スタイル?楽しい街の50の秘密