14時に早稲田大学理工学術院客員講師・松本泰生さん来社。松本さんは、あの「タモリ倶楽部」で、面白い階段案内人として登場した方です。ご著書「東京の階段」は、厳選した都内の階段120ヶ所あまりを写真とコメントで紹介したユニークもので、昨日に引き続き『city&life』掲載のためにインタビューをさせていただきました。
階段の定義はなかなかむつかしいらしい。一応、通り抜けできることとか地形に関係のあるものというぐらいを考えていらっしゃるようですが、構築物と一体化したものや、人工物か自然物かがあいまいなものが案外多いという。したがって定義すること自体あまり意味がないだろうと今は思っていらっしゃるとか。話をうかがいながら、かつてINAXギャラリーで「階段物語」をやったことを思い出しました。こっちは、建築物内の階段だったので、分類も蒐集もそんなに大変ではなかったのですが、道路や路地の階段となると、なるほど設計者不祥が大半だし、しょっちゅう作り替えられたりしていて、いざ調べてみると骨が折れるらしい。まぁ、だからこそ深く長く愉しめるものではあるようですが(笑)。
最後に、松本さんが一番キレイだと思っている階段は? と伺うと、「やっぱりきたか」と笑いながら、絶対それ聞かれるんだよねぇと。でも、いつも変わっちゃうんだよ。それでも、ベスト5位までは選んでくれました。それは……、9月発行の『city&life』no.89で読んでくださいね。
それから、階段を一つ見学。六本木通りをはさんで向かい側の通常三角州の角のところに階段があって、松本さんその存在を地図で知っていたのでしたが、未見だったとのこと。さっそく歩いて5分、見に行きました。いつのまにか手すりもついていて、それも壊れている! しかも、おもいっきし逆光。ところで、この階段のとなりの古いビル、今はクラブになっていますが、60年代にはあの天井桟敷があったところなのです。「ここがロドスだ、ここで跳べ」なんて落書きがあって、羽仁進や大島渚の映画にもしばしば登場したところでした。われわれは、あきらめて氷川神社へ。この参道の石段に階段研究者を立たせて撮るのは面白いよね、と編集者の斎藤夕子さん。この方、いつもこんな具合にナイスなアイデアを出すんで、ついぼくも調子にのってしまうのです。もちろん、ポートレイトはバッチリうまく撮れました。
東京の階段?都市の「異空間」階段の楽しみ方