写真家 大西成明さんから『大西成明写真集 ロマンティック・リハビリテーション』を贈呈していただきました。
大西さんは、『病院の時代』(2000年)で全国の病院を訪ね歩き、「生老病死」である人間をドキュメントしました。また、『ひよめき』(2004年)では、脳を一個の「存在」として活写しました。いのちの形として、そこにそうして在り続ける物体。ヒトとは、モノであると同時に、生きるからだであり、生命の形象です。このモノといのちが分かちがたく結びついた状態を現象学は、「身体」と呼びました。人間とは、「身体」のことです。そして、それは自己超出するという意味で「存在」そのものなのです。つまり動くこと、動き続けること。
大西さんの眼は、ついにその動く「存在」を捉えたのです。いのちをかけて動き続ける身体としての「存在」。「ロマンティック・リハビリテーション」に登場する人々はみんな生き生きとしています。それは、日々新たに生まれ変わる「存在」であることを、リハビリという現場に立つ誰もが、あたりまえのこととして受け入れているからに他なりません。もちろん、撮影者も例外ではありえない。「存在」をいかにして撮るか。著者は、写真家である以前に、身体としてそこに在ることを自覚します。真実を写す前に、真実を生きよう。大西さんの眼も、真実と同期するように動き回ります。動くこと、動き続けることを捉える続ける眼=写真の誕生です。
He's tried to make me go to rehab but I won't go go go(AMY WINEHOUSE )リハブ? そんなのすぐ目の前にあるじゃん。
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