会長の河本英夫先生のはからいで「日本病跡学会」総会に参加する。朝一で最初のセッションから参加。なぜなら、偶然にも『TASC monthly』でご寄稿をお願いした神戸大学国際学部の志紀島啓さんの発表があるからだ。お題は、「漱石の「こころ」を読む日本近代=ホモソーシャル+メランコリー=(3P)n」。柄谷行人の「こころ」読解には致命的欠陥がある。あろうことか、彼の批判する独我論の立場に立って「共同体」を批判するという転倒が起こっているという。そこで、3P(あっちのそれではありません)つまりPrivate、Public、Partnerを巡る問題として捉え直し、スキゾ的逃走=闘争の線をひこうというもの。着眼点はユニークで、きわめて示唆に富むものであったが、限られた発表時間内では十分に理解できなかった。ご本人は体調がよくないということで、発表後すぐに退席、せっかくご挨拶しようと思っていたのだが残念ながら果たせなかった。
休憩時間に、会長の河本英夫さん、廣中直行さん、十川幸司さんらに挨拶。花村誠一さんの顔も見えたが、お話はできなかった。
そのあと幾つかのセッションのあと、河本さん作の映像作品「ホモ・エクササイス」が上映された。これは以前DVDに落としたものをご本人から送っていただき見てたのだが、今回は、舞台に3人の演者をあげて、生のナレーション付きで公開された。
そして、最後、今回の特別講演、荒川修作さんによる「天命反転…New Science of Life」が行われた。河本英夫の紹介が終わると、三鷹の住宅の映像が流されて、突然話が始まる。ろれつがまわっているんだか回っていないんだかわからない話し方で、放言を連発。古典なんてものは、全部ダメ。ぼくたちは、身体の可能性をまだまったく使っていない。0.000001%も使っていない。ところが、人間はばかなことばかりをやっている。戦争はその最たるもの。今から半世紀も前に、NY郊外で赤ちゃんを何百人も集めていろいろな実験をした。赤ちゃんは、成人と違って身体の可能性を無限に知っているしそれを可能にしようとしている。なのに、成長とともにその可能性をどんどん狭めてしまう。なんとばかなことをわれわれはやっているのか。人類はみんな等しく狂っているという。というようなことを、もごもごと喋るのである。今回の基調講演者加藤敏さんが、この学会は創造行為というものと狂気の関わりを考える学会であると会場から質問をすると、ここにいるみんな狂っている。患者さんばかりではなく、お医者さんも、学生もみんな狂っていると応答。会場の一部からは失笑もでたが、そこは世界の荒川。その特異なキャラで、オーディエンスを納得せしめたのだった。
ところで、荒川さん、昨日NYから来日されたといっておられたが、飛行機はもちろんFクラスやBクラスじゃないですよね、三鷹天命反転住宅をつくるお人ですから、Eクラスをかえって愉しんでいるはずですもの。