TASC主催で香山リカさんの講演と交流会。テーマは「こころの不安と健康幻想」。欠如から過剰へ。外敵から内敵へ。見えるものから見えないものへ。「悪いところを治す」から「よいものをよりよくする方向」へ、現代の病が根本から変化していることに注目する。科学的思考とは、まだわからないことがあることを明らかにするところにあるのに、市民は逆にシロクロをはっきりさせてくれるのが科学だと思いこんでいる。科学的な真理をいくら並べ立てても市民は納得してくれない。市民が期待しているのは、それがシロなのかクロなのか、である。そうした市民のニーズに応えようとすればするほど、科学者はうそつきにならざるをえない。そして、前世を語る人のことばに反応し、民間医療に期待をかける。こうした図式が、ニセ科学というものを生み、また、市民はそれに騙されたがっているのだ。現代のこの状況は、まだまだ続くことなのか、あるいは、もっと別のものに変わっていくのか。香山さんの意見はいかに。望ましい方向にいくのではないことだけは確かなようだ。臨床経験をもとに現状を分析する香山さんの話は、説得力があって示唆に富むものだった。
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