映画美学校試写室にて「In The Realms of The Unreal… The Mistery of Henry Darger」を見る。ヘンリー・ダーガーのドキュメンタリー。ただし、生前の彼を知る人々のインタビューの間に、「非現実の王国」のヴィヴィアン・ガールズのアニメーションが挿入されるという異色作。アニメーションといっても、あくまでダーガーの絵画作品が使われ、登場人物の身体の一部を動かしてみせるというもの。インドネシアの影絵のような感じで手や足が動く。このアニメーションには驚かされたが、期待したほどではなかった。ドキュメンタリーとアニメという全く異なる二つの世界を結合させたために、その連続性ばかりが強調される結果となった。かえって予定調和的になってしまい、その分ダーガーの特異性が霞んでしまったように思われる。オーソドックスにドキュメンタリーで攻めきった方がよかったのではないか。82分という長さですら、ぼくには退屈に感じられた。今春シネマライズで公開予定。