昨夜からLyonに滞在中。朝、まず地下鉄でViller baineneへ。地下鉄駅のそばにあるといっていたので、なんとなくはわかっていたのでカンで探すとあった。1830年代につくられた社会住宅。広い道路空間を中央に奥に行政機関の入ったタワー型ビル。その左右にシンメトリーに高層の集合住宅を配置してある。鉄骨の構成主義建築。コンセプトの明確さがデザインの力強さによってみごとに表現されている。グロピウス、ル・コルビュジェと同世代の建築。ロシアフォルマニズム構成主義のマニアには垂涎ものの物件だ。同潤会アパートが保存されることなく取り壊されていく中で、近代建築の保存再生にいち早く乗り出したフランス。日本はまた引き離されてしまった。あとで伺ったところによると、当時から住んでいる人もいるし、今も社会住宅の役割をになっているようだ。もともとbaineneという地域が戦前からコミュニズムの拠点で多数の労働者が居住していたという。スターリン主義デザインと揶揄されもしたが、ぼくは大好きだ。室内が見れなかったのが残念。地下鉄でオペラ座へ。ジャン・ヌーヴェル作の改造建築の代表。リュプブリック通りをギヨティエール橋まで歩きホテルへ。佐伯さんとホテルで待ち合わせ。Gare Part Diewそばの官庁舎へ。文化庁から出向してきている歴史的環境監視建築家ピエール・フランチェスキーさんにインタビュー。「クロワ・ルス」建築的・都市的・景観的文化財保護区の保存再生事業と午前中見てきたViller baineneの再生事業について。フランチェスキーさんはコルシカ島の生まれ、顔立ちもイタリア人ぽい。取材後さっそくタクシーで「クロワ・ルス」のグランド・コット坂へ。ここにはトラブル(traboule/リヨン特有の言い回し)という通り抜け街路がたくさんある。それを取材しようと思ってウンちゃんに尋ねるとやたら詳しいではないか。なんと、彼はかつて絹織物を配達する仕事をしていて、トラブルを実際に使っていたのだ。どこに通り抜け道があるか彼は一目でわかるという。というのも、絹織物を運ぶのは結構な重労働で、一休みするためにそれをぶら下げて休む台座があるからだという。実際に通ってみる。かなり高低差があるので、通り抜け街路といってもほとんどが階段。それがまた独特の雰囲気をつくっている。佐伯さんいわくここはカスバだ。日本の路地マニア、団地マニア、さらには軍艦島マニアは、ぜひ訪れた方がいい場所。夜、TGVでLILLEへ。東京から名古屋へ行って、帰りに東京を通り越して仙台へ行くような3時間の旅行。