都立松沢病院、都立墨東病院を経て今年から東京未来大学の教授をされている春日武彦先生にインタビュー。『談』no.80特集「無意味の意味/非-知の知」のトップバッター春日先生にお願いしたテーマは、「無意味なるものに魅せられて……ささやかだけど役に立つこと」。
春日先生は、『奇妙な情熱にかられて』(集英社新書)で、なぜか気になるもの、心に語りかけてくるものとして「ミニチュア、境界線、そっくりなもの(贋物)、蒐集」の四つを挙げて、実生活にはまるで役に立たないけれども、腑に落ちた気分が得られるところがいい、そしてそれはある種のリアリティにつながるとおっしゃっている。きわめて個人的に見えるそうした趣味、趣向は、意外にも普遍性をもっていて、それこそがこころの働きであるともいう。だからこそ、そこに人々はリアリティを感じるのではないかというのが先生の考え。先生自身も蒐集家で、今はもうやっていないそうだが、ひところはトイレットペーパーの包み紙を集めていたそうな。蒐集の醍醐味とは何かと言えば、それは確認の喜びだという。「ありえるかもしれない」「あったら面白いな」と想像をどんどん発展させていくところに、無類の面白さがあるというのだ。トイレットペーパーの包み紙には、たとえばペンギンの絵のついたものがある。ならば、きっと駱駝だってあるはずだし、麒麟だってあるかもしれない、と、どんどんイマジネーションをたくましくさせていく。ある時ふと気が付くと、6畳の部屋の隅から隅までトイレットペーに占拠されていたということになるのである。
さて、そんな先生なので、話がつまらないはずはない。抱腹絶倒とまではいかなかったけれど、十数回は腹を抱えて笑いました。インタビューの内容は、本誌でお読みいただくとして、こいつはJT向け、と思われる面白いネタをひとつ紹介しよう。
春日先生の長い臨床経験から分かったことなのだが、統合失調症の患者さんの多くは、かなりすごいヘビースモーカーだというのだ。一日100本吸うような人がざらにいるらしい。しかも、本数が多くなっても、小遣いが増えるわけではないので、だんだんたばこのグレードが、低位安定方向へシフトする。つまり、彼らのお気に入りは、「しんせい」「わかば」「ゴールデンバット」だという。こうした国産たばこが大量に売られているたばこ屋さんがあったとしたら、きっと近くに精神病院があるはずだ。
なぜ彼らはそんなにたばこを吸うのか。春日先生曰く、「やることがないからですよ、たばこでも吸ってない限り暇を持て余して」、それこそ狂ってしまう(?!)という。つまり、彼らの最大の愉しみであり暇つぶしがたばこなのである。そして、さらに注目すべきは、統合失調症の入院患者で肺がんになっている人は、全くといっていいほどいないのだそうだ。重い統合失調症の患者さんには、それこそ数十年と入院している人がいる。彼らの世界は、病室かせいぜい病院の敷地の中。外の世界と完全に隔絶された生活をおくっている。ここで、はは〜んと思いましたね。要するに彼らは、外に一歩も出ないゆえに肺がんにかからない。ということは、外に出ると肺がんのリスクが俄然高くなるということになる。だったら、養老先生が主張しているように、「肺がんの最大のリスク要因はクルマ」というのは、案外あたっているのかもしれませんぞ。
春日先生は、もちろん喫煙擁護派かどうかはしりませんから、これはぼくの単なる想像ですが、なかなか面白いネタではあるでしょう。
春日先生は、『奇妙な情熱にかられて』(集英社新書)で、なぜか気になるもの、心に語りかけてくるものとして「ミニチュア、境界線、そっくりなもの(贋物)、蒐集」の四つを挙げて、実生活にはまるで役に立たないけれども、腑に落ちた気分が得られるところがいい、そしてそれはある種のリアリティにつながるとおっしゃっている。きわめて個人的に見えるそうした趣味、趣向は、意外にも普遍性をもっていて、それこそがこころの働きであるともいう。だからこそ、そこに人々はリアリティを感じるのではないかというのが先生の考え。先生自身も蒐集家で、今はもうやっていないそうだが、ひところはトイレットペーパーの包み紙を集めていたそうな。蒐集の醍醐味とは何かと言えば、それは確認の喜びだという。「ありえるかもしれない」「あったら面白いな」と想像をどんどん発展させていくところに、無類の面白さがあるというのだ。トイレットペーパーの包み紙には、たとえばペンギンの絵のついたものがある。ならば、きっと駱駝だってあるはずだし、麒麟だってあるかもしれない、と、どんどんイマジネーションをたくましくさせていく。ある時ふと気が付くと、6畳の部屋の隅から隅までトイレットペーに占拠されていたということになるのである。
さて、そんな先生なので、話がつまらないはずはない。抱腹絶倒とまではいかなかったけれど、十数回は腹を抱えて笑いました。インタビューの内容は、本誌でお読みいただくとして、こいつはJT向け、と思われる面白いネタをひとつ紹介しよう。
春日先生の長い臨床経験から分かったことなのだが、統合失調症の患者さんの多くは、かなりすごいヘビースモーカーだというのだ。一日100本吸うような人がざらにいるらしい。しかも、本数が多くなっても、小遣いが増えるわけではないので、だんだんたばこのグレードが、低位安定方向へシフトする。つまり、彼らのお気に入りは、「しんせい」「わかば」「ゴールデンバット」だという。こうした国産たばこが大量に売られているたばこ屋さんがあったとしたら、きっと近くに精神病院があるはずだ。
なぜ彼らはそんなにたばこを吸うのか。春日先生曰く、「やることがないからですよ、たばこでも吸ってない限り暇を持て余して」、それこそ狂ってしまう(?!)という。つまり、彼らの最大の愉しみであり暇つぶしがたばこなのである。そして、さらに注目すべきは、統合失調症の入院患者で肺がんになっている人は、全くといっていいほどいないのだそうだ。重い統合失調症の患者さんには、それこそ数十年と入院している人がいる。彼らの世界は、病室かせいぜい病院の敷地の中。外の世界と完全に隔絶された生活をおくっている。ここで、はは〜んと思いましたね。要するに彼らは、外に一歩も出ないゆえに肺がんにかからない。ということは、外に出ると肺がんのリスクが俄然高くなるということになる。だったら、養老先生が主張しているように、「肺がんの最大のリスク要因はクルマ」というのは、案外あたっているのかもしれませんぞ。
春日先生は、もちろん喫煙擁護派かどうかはしりませんから、これはぼくの単なる想像ですが、なかなか面白いネタではあるでしょう。
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