豊橋技術科学大学へ。知識情報工学系教授・岡田美智男さんのインタビュー。『談』の遊びの特集のひとつとして。岡田さんは昨年までATR研究所におられた。目玉の一連のシミュレーション「Talking Eye」「目玉ジャクシ」や、目玉の対話型ロボット「muu」の製作者として知られている。
豊橋に移ってからも、引き続き実装型ロボットの製作と供に、生態心理学、認知心理学から、コミュニケーションと身体、社会の関わりを追求しておられる。今日は、コミュニケーションの成立する場のダイナミクスに「遊び」という切り口から取り組もうとしていられることを知って、「これだ」と思い馳せ参じたわけである。
ざっと実機製作を振り返りながら、岡田さんの問題意識をうかがい、そこから「遊び」との関係に話が及ぶ。そもそもこうした研究をおやりになったきっかけが女子高生たちの雑談。たわいもないことを延々と話し続けている。しかし、そこには確実にコミュニケーションというものが成立している。「たわいのなさ」「雑談」のもっている意味を探ろうというのが、そもそもの動機であったという。他の意味のあることをいの一番に掲げてまい進してきたロボット研究とは、まずその端緒から違う。そこが岡田さんユニークなところだ。
これまでことあるごとに触れてきたように、「遊び論」そのものが、ホイジンガ、カイヨワ、チクセントミハイ、エリス以降たいした成果を生み出していない。誰でも一度は取り組む、その意味では関心の高いテーマではあるけれども、本質的なところまではいかず未消化に終わっている場合が多い。岡田さんが一つの切り口に「遊び」を選ばれたのは慧眼であるが、更なる探求が必要に思った。ただ、生態心理学とヴィゴツキーを関連付けたり、ゴフマンを廣松哲学から再考するなどというアイデアは、センスのよさを感じた。今後の研究に大いに期待したい。身体と潜在性というような問題に切り込んでもらえるとうれしいのだけれど。それにしても、「muu」のこのそこはかとなさはなんだろう。めちゃカワイイとおもわへん???