「私たちは、監獄、病院、工場、学校、家族など、あらゆる監禁の環境に危機が蔓延した時代を生きている。家族とはひとつの〈内部〉であり、これが学校や職業など、他のあらゆる内部と同様、ひとつの危機に瀕しているのだ。当該部門の大臣は、改革が必要だという前提に立って、改革の実施を予告するのが常だった。学校改革をおこない、産業を、病院を、軍隊を、そして監獄を改革しようというのだ。(…)こうして規律社会にとってかわろうとしているのが管理社会にほかならないのである」。
「(…)不思議なことに大勢の若者が〈動機づけてもらう〉ことを強くもとめている。もっと研修な生涯教育を受けたいという。自分たちは何に奉仕されられているのか、それを発見するつとめを負っているのは、若者たち自身だ。彼らの先輩たちが苦労して規律の目的性をあばいたのと同じように。ヘビの環節はモグラの巣穴よりもはるかに複雑にできているのである」。
ジル・ドゥルーズが残したあまりにも有名なテキスト「追伸……管理社会について」より。これが90年に書かれていたことにあらためて驚く。それにしても、モグラとヘビはなんの比喩なのだろうか。モグラが監禁環境の動物でヘビが管理社会の動物だとしても、その含意は果たして……。