ジャーナリストの柳田由紀子さんより新刊『太平洋を渡った日本建築』(NTT出版)を贈呈していただきました。アメリカに現存する日本建築や庭園をジャーナリストの目で観察し紹介したおそらく我が国で初めての著作です。
1876年、アメリカの日本建築の第一号となる日本館がフィラデルフィア百年祭万国博覧会にお目見えしました。本書はこの日本館の誕生から第二次世界大戦後、ニューヨーク近代美術館中庭に展示された吉村順三設計の書院造り「松風荘」まで、12の建築が年代順に紹介されています。取り上げられた主要な建築には、所在地やHPなどの情報が掲載されていて、実際に物件を訪ね歩くためのガイドブックにもなっているという親切な編集。
建築そのものよりもその設計者や周囲の状況に著者の関心は向かっていきます。日本建築をアメリカ社会がどう受容したかという文化論になっていて、本書を単なる建築評論とは一線を画したものにしています。著者が建築の専門家でないことがかえって功を奏しているといっていいでしょう。
私信で著述にあたって90年にINAX BOOKLETの一冊として出版された『万国博の日本館』がおおいに参考になったとおっしゃってましたが、この本を編集した人間にとってはこれほどうれしいことはありません。みなさん書店で目にしたら、ぜひ手に取って見て、よかったら買ってください。もちろん、柳田さんの著作の方ですよ。お間違いなく。
太平洋を渡った日本建築