中田の10分間の沈黙と突然の引退表明。その間にあったのは、舌である。ただ唯一中田の舌が中田自身の謎を解き明かす。中田は「ブラジル」だったのだ、最後まで「ブラジル」の舌たらんとしたのである。しかし日本は「ブラジル」ではなかった。すでに、「ブラジル」の舌であることを止めてしまった。その絶望的な隔たり。言語と味覚の消滅。Webマガジン「en」 最新号の今福龍太さんの連載は、まるで中田の引退をとっくに知っていたかのような文章だ。野心でも新たな旅たちでも、そんなことはどうでもいい。すべての謎は、舌にあったのである。
このブログにコメントするにはログインが必要です。
さんログアウト
この記事には許可ユーザしかコメントができません。