東洋大学文学部教授・河本英夫さんから最新刊『システム現象学 オートポイエーシスの第四領域』を贈呈していただきました。
「体験的世界は、行為と不可分になっている。実際、現に行為するとともに成立している認知がある。こうした行為知の場合、現実に遂行されている経験のあり方を記述するための回路が必要になる。そこには遂行される経験そのものを貫く機構のモデルと、行為知そのものを遂行のさなかで記述するまなざしが必要である。前者が、システムの機構であり、後者が伝統的な現象学である。行為知の解明には、両者ともに欠くことができない。とりわけ経験の形成や体験的世界の変貌を考えるさいには、これらはともに不可欠である」(はじめにより)。
どのようにして体験レベルの経験を形成するかが本書全体のねらいだといいます。基本的な働きを、現実がそれとして成立する働き「注意(アテンション)」と知るということ以上に行為の調整を担っている「気づき(アウェアネス)」に限定したうえで、哲学の探求、経験科学の開闢、制作という創造をまったく同レベルで行おうとしているわけで、本書の試みは、未領域への第一歩になるはずです。
じつは、河本さんと精神分析家の十川幸司さんの対談を今週末に予定しています。十川さんは、精神分析とシステム論を結び付けてシステム論的精神分析という領域を切開中。システム論を媒介にして、現象学と精神分析がこれまでとはまったくちがうかたちで出会うことになる。いまからとても楽しみ。この対談は、『談』no.76に掲載されますので期待していて下さい。
システム現象学?オートポイエーシスの第四領域
「体験的世界は、行為と不可分になっている。実際、現に行為するとともに成立している認知がある。こうした行為知の場合、現実に遂行されている経験のあり方を記述するための回路が必要になる。そこには遂行される経験そのものを貫く機構のモデルと、行為知そのものを遂行のさなかで記述するまなざしが必要である。前者が、システムの機構であり、後者が伝統的な現象学である。行為知の解明には、両者ともに欠くことができない。とりわけ経験の形成や体験的世界の変貌を考えるさいには、これらはともに不可欠である」(はじめにより)。
どのようにして体験レベルの経験を形成するかが本書全体のねらいだといいます。基本的な働きを、現実がそれとして成立する働き「注意(アテンション)」と知るということ以上に行為の調整を担っている「気づき(アウェアネス)」に限定したうえで、哲学の探求、経験科学の開闢、制作という創造をまったく同レベルで行おうとしているわけで、本書の試みは、未領域への第一歩になるはずです。
じつは、河本さんと精神分析家の十川幸司さんの対談を今週末に予定しています。十川さんは、精神分析とシステム論を結び付けてシステム論的精神分析という領域を切開中。システム論を媒介にして、現象学と精神分析がこれまでとはまったくちがうかたちで出会うことになる。いまからとても楽しみ。この対談は、『談』no.76に掲載されますので期待していて下さい。

写真行為が現象学なのかどうかはおいておくとして、河本さんのこの言葉は僕が写真を制作する過程で感じていることの一つにとても近しく、興味を感じます。読んでみようかな。