Webマガジン「en」にて連載していただいた茂木健一郎さんの食に関するエッセイが、本になりました。タイトルは、連載と同じ『食のクオリア』。脳と舌、さらには腹も加わっての食談義。「おいしさの正体は」、「成長する味覚のなぞ」、「われわれにとっての最後の晩餐とは」、あるいは「記憶とおいしさの抜き差しならぬ関係」などなど。食は、日常生活の中でくり広げられる最も人間くさい行為。それゆえ、人間存在の不思議や機微が垣間見られます。ささやかなワンシーンを掬いだすようにして描写された食の風景、食のかたち。帯のコピーにもあるように、ほんとうに「人生が美味しく」なること間違いなし。
ところで、同じ青土社から、今月なんとカブレラ=インファンテの『煙に巻かれて』が発行されました!! これぞ煙草文学の最高傑作。キューバ生まれでのちにイギリスに亡命した作家のまさに煙に巻かれるお話。文芸エッセイという形をとりながら、葉巻きと喫煙を巡る奇妙で愉快な幻想世界が展開していきます。愛煙家必読の一冊です。ぼくにカブレラ=インファンテが「葉巻きのとても面白い本を書いているよ」と教えてくれたのは今福龍太さん。そう、茂木さんの連載を引き継いで「en」で始まった食のエッセイ「リングア・フランカへの旅」の作者。「en(えん)」がとりもつ不思議な「縁(えにし=えん)」を感じました。
それにしても青土社さん、いい仕事してますね。
食のクオリア

煙に巻かれて