東京大学大学院新領域創成科学研究科環境学系助教授・清家剛さんにインタビュー(インタビュアーは斎藤さん)。サステナブル建築の普及を目的に、国交省が主導するかたちで2001年にスタートした環境性能評価システム「CASBEE」が実用段階に入ったといわれる。実際にCASBEE評価を取り入れることで、集合住宅、戸建て住宅はどのように変わるのか。また、まちづくりにどんな変化を与えるのか、CASBEE評価方法づくりに関わっておられる清家さんに直接お聞きした。省エネ対応だけでなく、省資源化まで考慮に入れてトータルな指標を示すとなると、現実的にはなかなか難しいらしい。が、逆に言うとこのトータル(総合的)というところが重要で、ハードルは高いが乗り越えていく意味は大きい。興味深かったのは、リサイクル材の活用のための技術開発を、もっと強力に推し進めていく必要があるという指摘だ。リサイクルは個別で解決するものではなく、業界全体、さらには社会全体の合意のもとで、総合的に進めていかないと意味がない。リサイクルを本気でやろうとすれば、これまでのスタンダードであった工業型の生産技術そのものを組み替えていく必要があるのだ。たとえば、ガラスや鉄骨のリサイクルをしようとすれば、工場生産のライン全体を根本からつくり替えなければならない。大雑把に言えば、コスト削減と性能重視でずっとひた走ってきた生産技術それ自体を組み替える必要があるということだ。言い換えれば、科学技術そのものパラダイム変換が求められるということである。サステナブル社会に向けて、デザインモデルを従来の科学から借用して何かできそうだと思っておられる専門家は少なくない。しかし、たとえば循環系にしろ代謝系にしろ、本質論に立ち返れば、従来のエンジニしアリングを少しばかり変えたぐらいではダメだということだ。循環とは単純にスタートとゴールのあるリニアなシステムではない。リニアではないシステム? そんなもの、まだわれわれは目にしてすらいないということに気付くべきだ。
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