武蔵工業大学環境情報学部教授・岩村和夫さんのインタビュー。中目黒のアトリエを訪ねる。『City&Life』の特集「都市の〈良質な〉居住環境」で、「サスティナブル建築がつくる良質な町並み……CASBEE評価の可能性」という記事をつくるための取材。CASBEEとは、建築物総合環境性能評価システムのことで、国土交通省主導で開発が進められているが、岩村さんは建築家の立場からそのシステムづくりに関わってこられた。97年に建て替えられた世田谷区深沢環境共生住宅の設計で注目され、エコロジー住宅の第一人者として活躍されている。集合住宅、戸建住宅にCASBEE評価を導入することによって、居住環境にどのような変化が生じるか、簡単に言えばそれでほんとうに〈良質な〉町並みができるようになるのか。ズバリお聞きした。
岩村さんは大変丁寧にお話し下さった。内容は、3月末発行予定の本誌をお読みいただきたいが、一つだけ言うと、〈良質な〉という場合の、「生活の質」とはそもそもどういうものを言うのか、「生活の質」を構成するものとは何か、そのことをきちっと考えることがまず必要なのではないかと提言された。『談』でも、ずっとこの「生活の質=QOL」が問題になっている。「生活の質」といった場合、それは誰にとっての「生活の質」なのか。端的に健常者の、都市に生活するサラリーマン家庭の、所得水準が中以上のクラスの者にとっての「質」なのではないか。階層社会化が急速に進行している中で、その対象者はますます限定されてくる。そのことの意味をしっかり考えておいた方がいいということだ。もう一つ、快適性といった場合も、何をもって「快」とするのか。それこそひとそれぞれだろう。各住宅メーカーは、高気密高断熱をウリにしニーズも高い。しかし、エネルギー効率から見る限り、高気密高断熱の住宅は悪いといわれている。環境に対する負荷の軽減を重視するのか、それとも快適性を優先するのか。たぶんこうした二分法にこそ問題があるのだろう。環境という軸を置くと、それまで自明とされてきた考え方が、ちょっと怪しく思えてくる。ぼくにとって環境問題とは、ものを考えるための発端となるような、気づきなのだ。「生活の質」あるいは「良質」。これってほんとはなんだろうか。もう少しつっこんで考えてみることにしよう。