京王プラザホテルのスウィートルームにてエッセイスト・玉村豊男さんと堀口珈琲研究所所長・堀口俊英さんの対談。玉村さんとは、じつに10年ぶり。玉村さんがオーナーのワイナリー「ヴィラデストワイナリー」の紹介から口火を切ってもらう。自分の畑で収穫した葡萄をその場で醸造しその様子をみながら食事までできてしまう、個人経営のワイナリー&カフェ。それを一昨年スタートさせた玉村さんの苦労話から話ははじまった。片や堀口さんは、日本で本格的なスペシャルティコーヒーの輸入・焙煎・販売を始めたコーヒーのスペシャリスト。ワインとコーヒー、産地も飲まれ方もマーケットもまったく異なるが、農産物としてみると意外に共通点が多い。今回のテーマである風土・気候との関わりからみると、両者ともにテロワール、ミクロクリマを重要視する。ワインもコーヒーもあらたな農業的価値観を発見するいい素材になるのだ。
農業とはいえ嗜好品だからこそ「つくること」の愉しみが芽生えてくるという。もっとも、ぼくは生産や流通にかかわるつもりはないけれど、ワインもコーヒーも大好きな人間としては、とりあえずよい消費者になりたいと思った。堀口さんのコーヒーを愛飲しているが、ヴィラデストワイナリーのワインの方はまだ口にしていない。今年は3月18日よりカフェの営業が始まる。今年こそぜひそのメルローを試してみたいものだ。玉村さんは対談のあともうひと仕事があるというので、堀口さんとTASCの新留さんとイタリアンレストラン「Vivo Vita」で会食。スペシャルティコーヒーのマーケットや下流社会(!?)、零細企業はどうやって生き延びるかなどについて忌憚なく雑談した。そうなんです、これでもぼくも経営者のはしくれですからね。堀口さんからいいヒントをもらったので、ぼくとしてはとりあえず有意義な会談になりました。