犬山の京都大学霊長類研究所へ。遠藤秀紀教授にインタビュー。遠藤さんは、上野動物園のジャイアントパンダ、カンカン・ランランの二代目として人気を博したフェイフェイを解剖した遺体科学者だ。遠藤さんの提唱する遺体科学についてたっぷり2時間半お聞きした。詳しくは、「en」06年1月発行の新年号をお読みいただきたいが、ここではひとつだけネタを。遠藤さん、著書『パンダの死体はよみがえる』で、「遺体科学の日常は、無目的、無制限、非プロジェクトとして遺体を収集することに力を尽くす」ことだと言っている。つまり、動物の遺体という遺体をすべてもれなく一切合切、とにかく集めてしまおう、というのだ。そして、それらをすべて3次元データ化する。実際の現物と情報データが組合わさった生き物の百科全書的博物館。そのためには、巨大な収集物(遺体資料)の保管場所を確保する必要がある。おそらく、東京ドームが数個は必要になるかもしれない。これって、まさにネットワーク・ソリューションにおけるストレージ技術の発想と同じではないか。資料の収集において取捨選択をやめること。モノとコトとキゴウはすべてがあるということではじめてメタな視点に立てるのである。
パンダの死体はよみがえる

体が反応するに任せて写真を集め、後は蓄積された’塊’としての写真自身に考えさせる。