写真展をはしごした。一つは、鈴木理策さんの個展「海と山のあいだ」、もう一つは西村陽一郎さんの個展「発光」。鈴木理策さんはご存知のように2000年の木村伊兵衛賞受賞作家。『談』では、ポートレイトを撮影していただいているが、その他にno.64で「サント=ヴィクトワール山へ」を、最新号では「恐山」など3点を掲載させてもらった。個展では、鈴木さんの郷里である熊野を撮影した作品が展示されていた。折口信夫が熊野を「海と山のあいだ」と表したことに触発されたという。水と森と大地の「あいだ」に棲息するメディウムのようなもの。記憶と風景の融解するエコロジカル・サイコロジーの世界が出現していた。もう一人の西村陽一郎さんも『談』とは縁が深い作家だ。とくにno.66の表紙を飾ったソラリゼーションの作品は、読者に鮮烈な印象を与えた。今回の「発光」は、なんと蛍が主役。一匹の蛍を暗室に持ち帰り、その明滅を直接フィルムに焼き付けたという。僅かないいのちが放つ微小な光の軌跡。まさに軌跡のような作品。
鈴木理策個展「海と山のあいだ」/GALLARY
KOYANAGI(6/28〜7/29)

西村陽一郎さんの個展「発光」247photography
Roonee(7/12〜24)