『City&Life』の編集後記で有栖川公園下の釣り堀「衆楽園」のことを書こうと思っていたら、中沢新一さんの近著『アースダイバー』にやはりこの釣り堀のことが書かれていた。建築家の團紀彦さんに誘われて行った時のことで、そういえば『ヘルメス』に発表された当時読んだことを思い出した。東京という場所が洪積層と沖積層が重なりあういわばフィヨルド構造によって形成されていて、古墳、遺跡、また神社などの宗教施設が、皆このフィヨルドの際につくられているということを実証したとても刺激的な本だ。(ただ、この事実については、鈴木理さん、陣内秀信さんらによってすでに言われていたことなので新味はない)。面白いのは、そうした場所が、霊界へと続く入口でもあるという指摘だ。ところで、本の折り込み付録としてついていた「Earth Diving Map」を見ていてぶったまげた。今回サーベイした都内の路地がなんとみんなそうした東京フィヨルドに位置しているではないか。ということは、路地=木密地域は、東京にとって霊界の入口ということになるのか。大地震の到来が騒がれる中、危険地域として真っ先に取り上げられる木密地域だが、もしかしてその下には本当に鯰がいるのかもしれない。だとしたら、やはり、安易に開発の手を入れるべきではないんじゃないの、なんて、またしてもオカルト好きな僕の暴言。

アースダイバー