我が家の書庫の整理。最初に勤めた編集プロダクションで制作した『ポリセント』が出てくる。この雑誌はそのプロダクションのPR誌。というか、ぼくらが勝手につくってしまった同人誌のようなもの。2号で休刊になったが。そのなかにぼくの寄稿した「逆立ちしたディチャーチン」というエッセイがあった。すっかり忘れていたが、読み直してみたらそれなりに面白かった。アフガン進攻で参加ボイコットが相次いだモスクワオリンピックの体操競技で個人総合優勝を果たしたのがアレキサンドル・ディチャーチン。この選手の身体は、妙になまめかしくて、そのしなを作ったポーズはベラ・チャフラフスカ(東京オリンピックで3つの金)を彷佛させたという。ところが、同じモスクワの女子体操の覇者コマネチの身体は逆に少年のそれと同じ。この年1984年、人類における男性性と女性性の大逆転劇が起こったというおち。ぼくのセックス、ジェンダー、セクシュアリティに関する考えは、25年前からちっとも変わっていなかったのだ。はたして、早熟だったのか、単に進歩がないのか。たぶん後者だろう。余談ですが、この雑誌には、あのえんてつさんも寄稿しているよ。