「〈向こう三軒両隣り〉のまちづくり」というアイデアが浮かぶ。地域ほど広く(大きく)なく、家族ほど狭く(小さく)ない最小単位。市民主体のまちづくりをこの単位からはじめてみようという提案である。一種の親密圏をこの程度まで拡大解釈し、公共圏と重ねあわせる。その核になるのが「路地」「横町」だ。排他性の強い「隣組み」、理念的共同体の意味合いの強い「地域」と一線を画し、多様性と複数性に開かれているところに大きな特徴をもつ。齋藤純一さんがノルベルト・エリアスの言葉を使って概念化したサバイバル・ユニット(生活のセキュリティの基本単位)にも十分対応すると思うのだが。「路地」「横町」の復権を、この視点から探ってみようと思う。