慶応義塾大学教授・日端康雄さんの取材。「都市再生論とはなにか」というテーマで、文献案内をしていただきながら、都市再生論の経緯、含意、課題についてお話いただいた。都市再生を主題とする文献は少なくないが、経済との関わりから論じられたものは意外なことに少ない、というか皆無に等しい。しかし、都市再生論には、じつは90年代以降のグローバル経済の動向が深く関わっているのだ。
たとえば、SPC。Special Purpose Company=特別目的会社で、資産の流動化(証券化)の為に設立されるなど、特別の目的を持って設立された会社または団体のこと。言い方を変えれば、SPCとはビルを証券化することであり、この手法によってデベロッパーは、自らで土地を購入することなく再開発を進めることができるようになった。バブルはとうにはじけたのに、東京では次々と巨大プロジェクトが進行している。なぜそれが可能なのかというと、SPCという打出の小槌があるからなのだ。金融工学から生まれた手法の一つが、都市再生論を勢いづかせる。その裏側を知らない限り、本当の都市再生論の意味も課題もまたその危険性も見えてこない。
夕方、写真家「畠山直哉さんが近くまで来たのでと顔を出された(『談』最新号の「Slow Glass」作者)。畠山さんは、先月オープニングに出席するためにサンパウロに行ってきたそうだ。サンパウロビエンナーレで写真作品として「スティル・ライフ」が選ばれたのである。そのあとサルバドールへ足を延ばし、カントンブレのショーなどをみてきたと言う。かなり気に入ったみたいで、今度はちゃんと撮影するために滞在したいと言うので、だったらマナウスに行くといいよと勧めた。港千尋さんにもそう言われたらしく、ちょっと本気になった様子。今年はビエンナーレづいてい、その前に例の日本館のOTAKUで話題沸騰中のベネチアビエンナーレにも出品。また明後日からとあるアジアで開催されるビエンナーレへ。畠山さんは、この夏安藤忠雄の地中美術館を撮影。なんと写真集としてNAZRAELI PRESSから来年始めに出版されるらしい。いやはや、世界的写真家は忙しい。