今日は、まず午前中に大阪大学大学院工学研究科教授・新田保次先生をお訪ねしました。「マルチモーダル……中心市街地活性化への新たな戦略」というテーマを交通政策の側からはどう考えるかという内容のインタビュー。次に、京都へ移動。立命館大学大学院先端総合研究科助教授・立岩真也先生をお訪ねしました。『談』72号特集「公共性」と例外状態」で、「公共性による公共の剥奪」というテーマでのインタビュー。そして、18時からは市内のホテルで「都市は誰のものか……開くのか/閉じるのか」というテーマで対談。神戸大学発達科学部教授・平山洋介先生と中部大学工学部助教授・五十嵐太郎先生のお二人。一日にインタビューと対談を3本やったのは、さすがに始めてかもしれません。
「対談」の狙いは次の通り。「神戸、ニューヨーク、ベルリン、この3つの都市は、大規模な破壊にさらされた。そして、今、競い合うように再建・再生に大わらわだ。一件出自も条件もおかれた状況も異なるこの3つの都市は、不思議に共通するところがある。破壊からの再建・再生の過程で、多様な欲求が噴出し、ある場面では反ばくしある場面では共闘する、対立と和合の「競合する空間」を形成していることだ。平山洋介氏は、都市とはそうしたさまざまな力がぶつかりあうことを常とし、決して完結することのない「不完全」な空間だという。
一方、テロや災害、犯罪に対する不安から、都市のセキュリティへの関心が急速に高まっている。それは、ある種の無菌状態を理想とする都市イメージを醸成する。こうしたセキュリティを過剰に求め無菌化を理想とするという意味で、五十嵐太郎氏は「過防備都市」と命名した。
都市生活者にとっては、都市に生きることはすなわちリスクをとることだ。「不完全」であるがゆえに、都市は寛容であり続けた。ところが、今やその寛容さを放棄し、リスクゼロの空間づくりへと邁進する。「過防備都市」とは、不寛容をよしとする「完全」都市のことでもある。
改めて問いたい。都市は誰のものか。多様な価値観を許す「不完全」で寛容な場所ではなかったのかと」。