新聞、TVなどですでに皆さんもご存知でしょうが、作家の辻井喬さんが、亡くなられました。セゾングループ元代表(堤清二)として80年代、90年代、生活総合産業を掲げ、西武百貨店、西友、パルコを中心に、日本の流通・小売業をけん引してきましたが、一方、総合的かつ革新的な文化運動の推進者でもありました。文学、美術、音楽、舞台、映像といったジャンルで、また、自ら詩人・作家としてさまざまな表現分野にもかかわり続けました。辻井喬さんのこうした幅広い活動を、「戦後日本の文化創造」という観点から位置付け直し、同時代およびその後の時代にどのような影響を与えたかを掘り下げたのが、『談』no.90特集「辻井喬と戦後日本の文化創造…セゾン文化は何を残したか」(2011年発行)でした。セゾングループの拡大路線がバブル崩壊で破たん、グループ企業の経営からは退きましたが、辻井喬さんの目指した文化とビジネスの融合は、2000年代に入っていよいよその意義が問われています。辻井喬さんの業績をたどるとともに、あらためてその思想の深部を捉えることは、意味のあることだと思います。最新号とあわせて、ぜひこの機会にご購読いただくことをおススメします。

 no.90表紙