『談』no.92 特集「養[老病]生論」

タイトルを見て、うっなんのこっちゃと思ったあなた。
種明かしをしましょう。
貝原益軒に『養生訓』という書物があります。
たった一度の人生だから、いのちを大切に、しっかり生きようという、
江戸時代の一種のハウツー本です。
この養生という考え方、一見、健康第一主義のようにみられがちですが、
さにあらず、むしろ行き過ぎた健康主義に抗する「生活」の思想だったのです。
養生を、生きることそれ自体をよしとする「生(きる)−活(力)」の思想として捉え直す。
ドゥルーズ的な文脈を踏まえて、養生論を大胆に換骨奪胎します。

養生論の射程……個人/社会の調和の思想
瀧澤利行(茨城大学教育学部教授、医学博士/養生思想、健康文化論)

患者の知、医療の認識論的転回
松繁卓哉(国立保健医療科学院医療・福祉サービス研究部主任研究官/社会学)

福祉社会の桎梏……病苦がなくなることを普通に欲望できる社会へ
小泉義之(立命館大学大学院先端総合学術研究科教授/哲学・倫理学)

●特別企画
土屋仁応作品「私的な神話」「麒麟」「青い人魚」
談92 販売店広告 正