『談』今号の登場者・今福龍太さんと前号の登場者・稲垣正浩さんが『世界』4月号で対談をしています。題して、「朝青龍はなぜ追放されたか」。

日本人の潜在意識にゼノフォビア(外国人忌避)があって、それが今回の追放劇の背景にあると稲垣さんが指摘すれば、スポーツ=メディア複合体が栄養分としてきたスキャンダルが、排除の原理として働き、結果、秩序かく乱者たるストレンジャー・朝青龍の「王殺し」がなされたと切り返します。お二人は、追放劇の裏にある権力の巧妙な政治的暴力に対して、朝青龍の横綱としての尊厳を守らなければならないと、朝青龍を全面的に擁護するのです。

アスリートの暴力(が本当にあったかは不明)に端を発した朝青龍問題、しかし、そこに見出さなければならないのは、「近代スポーツ」というミッションの限界であり、身体技芸の排除と選別、生の調教と統治という、まさに現代日本社会におかれている自己の身体の現実です。フーコーのいうアルケー、そのエネルゲイアを身体それ自身の中に発見し、その躍動を再認識することではないか、お二人は、そう言って、単なる相撲業界のスキャンダルとして葬り去ろうとする風潮に、強烈なカウンターパンチを与えるのです。

身体文化を考える者にとって、必読の対談ですぞ。