首都大学東京へ。南大沢は大きく様変わりしていた。駅からまっすぐに大学正門へ向かうと、まずシネコンと飲食店のモール、さらに左右にイタリアをイメージしたアウトレットモールが広がる。工学部の9号館はずっと奥。今日は都市環境学部准教授饗庭伸先生のインタビュー。71年生まれの若い先生だ。先生は、「都市をたたむ」というコンセプトで、人口縮小時代の都市デザインのあるべき姿を研究されている。この「都市をたたむ」という云い方が気に入って、ぜひそのお考えをお聞きしようと思ったわけだ。詳細は、例によって『city&life』を読んでいただければいいのだが、個人的に面白かったのは、人口縮小が進むと「だれのものでもない土地」が広がっていくという話。土地というのは、基本的に所有者がいるものだが、人口縮小が引き金になって、土地所有の放棄が起こってくるかもしれないということだ。比喩的に言えば遺棄。アガンベン風に言えば「ゾーエー」としての土地が、国土のそこかしこにぼこぼこと穴が空くように出現してくるのである。ぼくは、しかし、だからこそ、こうした誰にも相手にされない土地に、希望を感じる。もしかすると、こういう土地こそ、全うな意味での「公共」の空間となりうるのではないかと思うからである。ゾーエーの土地論、あるいはそれを公共スペースへと反転させること。