ライターの大城君と、町田で『野宿野郎』の編集長(仮)かとうちあきさんにインタビュー。『野宿野郎』ってなに? 仮ってなに? って思うでしょ。『野宿野郎』とは、雑誌名で、公園や河川敷や路上で野宿を愉しむひと向けの専門誌、というか、野宿ファンの雑誌です。とにかく野宿が大好きで、高校生の時から、寝袋片手にどこでも野宿してしまうかとうさんが勝手に始めたミニコミです。野郎なんていうから、無粋な大男を想像していたら、とてもかわいらしいお嬢さんでした。なぜ仮か、これは名刺にそう書いてあったからで、理由はわかりません。

三浦しおんさんが来店されたことを大々的に宣伝するレトロな喫茶店、「珈琲の殿堂プリンス」に入りました。さて、かとうさん、とても面白い方でした。今、同人誌というとデザインもあかぬけていて、シャレている。レイアウトソフトをつかって、プロ並のクオリティのものがほとんど。そんなミニコミ界にあって『野宿野郎』は、お世辞にもきれいといえない、ワイルド系、手書き重視の、一昔前のミニコミ然とした雑誌です(もっとも、そのザラッとした手触りがたまらなくいいんですが)。

聞くと、わざわざ手貼りで版下つくって入稿しているのだそうです。かえってお金もかかるし、重版はできないし、なんでこんなふうにやんなきゃなんないんでしょうか、だって(笑)。いちいちこんな調子で、自分のやっていることを、上から目線で、おかしがっているところが面白い。そもそも大学で「頭脳パン」のサークルをつくったというところから、踏み外しています。

とにかく、野宿が好きなのです。今では、ちょっと屋根の下にいるのが長くなると、外で寝たくなるとか。居酒屋で飲んでいても、横になれないからといって外に飛び出して、野宿モードで飲みなおすというのですから。都内の野宿ベストスポットは? と 訊ねると、代々木公園だそうです。野宿野郎のほかに、バックパッカーやブルーシート系のひと、外国人も多いらしく、棲み分けができているとか。また、お台場はウォーターフロント、芝公園は東京タワーと、都会絶景ポイントを寝袋にくるまって見るのはとても愉しいですよ、とうれしそうな顔。雑誌が縁で仲間も少しづつふえているそうな。中には、アラ40もいるとのこと。彼女は、寝袋で寝ただけではなく、段ボールや新聞も経験ズミ。かなりハマっているらしく、そのまま出勤することもあるとか。

それにしても、かとうさんのこのゆるめのキャラは、とてもいいですね。現に、取材が殺到しているらしく、今年の下半期は、絶対ブレイクするでしょう。年末には紅白のゲスト審査員に選ばれるのでは、なんてことだってあるかも。

こわい事件が続きます。くれぐれも気をつけて、野宿愉しんでくださいね。