日比谷野音の「WORLD BEAT 2008」に行く。日比谷公園に着くと、かなたより聞き覚えのあるメロディが聞こえてきた。「渋さ知らズ」のリハだ。「渋さ」はいつだって出番の前から、すでに出演中である。いったん楽屋に戻って、16時開演。おやくそくの会場客席からブラスで登場。ステージには、白塗りとおしゃもじ隊ならぬバナナ隊が階段はしごに座っている。そして、演奏が始まると、ペロちゃんと褌しるし半纏姿の兄貴が登場。白塗り舞踏家も身体をくねらす。演奏は、以前よりずっとまとまっている。小森慶子さんのサックスのソロがいい。片山さんは、あいかわらず大人のソロで聴かせる。今回はいずれもおなじみの曲ばかり、そして最後も、やはり名曲、本多工務店のテーマ。

今日は3組による音楽格闘技ということらしいが、次はTHINK OF ONE with CAMPING SHAABI。一昨年の来日公演とはうって変わって今回は、モロッコのミュージシャンとのコラボレーション。以前より、融合度がずっと深まった感じ。ベースは、いかにもTHINK OF ONE的なのだが、リズムやグルーヴはしっかりモロッコ風。しかし、その風というところが曲者で、何にも似ていない「風」なのだ。よく化学変化という比喩が使われるが、THINK OF ONEとモロッコ音楽の出会いこそこの言葉にぴったり。

三つ目のBALKAN BEAT BOXには、正直度肝を抜かれた。イスラエル人3人を中心とするNYを拠点とするミクスチャーバンド。「ジプシー、クレズマー、アラブ、トルコ、ブルガリアン・ヴォイスなど様々なバルカン音楽、とDJ/サンプリング・カルチャーの音楽(ヒップホップ、ラップ、レゲエ/ダブ)などを混ぜ合わせ、肉体のビートとエレクトロニクスのビートを融合させたサウンドを聴かせる」と説明のあるとおり、強烈なエレクトロニクスの縦ノリビートが炸裂、そこにバルカンブラス、クレズマー、ラップがぐちゃぐちゃにからみあい、音のカオス、肉体のアマルガムを作り出す。1曲目の鶏の泣き声(なぜかコケコッコーのサンプリング)が鳴り響くと同時に、野音は巨大レイブ会場へと変わった。それから、1時間、会場の老若男女はほぼ全員身体をぶつけ合いながら、踊り、とび跳ね、叫びまくったのだ。世の中には、すごいバンドがまだまだたくさんある。BBBは、今後日本でも絶対に人気が出るはず。ぜひFRFにきてもらいたい。最後は、3組のジャムセッション。いったいどんな状態になったか、ご想像にまかせます。

終了後、渋さの不破大輔に引っ張り出されて、川島恵子さんが挨拶。プロモーターが舞台挨拶するなんてほとんどないんじゃないか。出演者、観客、スタッフら会場のみんなに嬉しそうに感謝する川島さんの姿が印象的だった。川島さんとは、エンタメ・ビジネス論にゲストで来ていただいたプランクトンの社長さんです。