物理学者の菊池誠さんと香山リカさんの対談集『信じぬものは救われる』(かもがわ出版)を贈呈していただきました。

いわゆるニセ科学問題について言及している菊池さん。また、スピリチュアルにハマる人の心理を解剖する香山さん。科学を装ったインチキに、現代人はなぜかくもコロっとだまされてしまうのか、徹底的に話し合った一冊です。

今、ちまたで評判の「シロクロはっきりさせてよ主義」「なんでも検定主義」「あなたの前世は主義」…、じつはみんな根は同じだったんですね。本書を読ませていただいて、それを確信しました。

菊池「ニセ科学を信じるのと、江原さんのことを信じるのとは、だいたい同じ(…)。要するに欲しいのは説明(…)」「〈イオン〉という言葉が好きな人と、〈オーラ〉という言葉の好きな人がいる。だけど、本質的にはそんなにちがわないんじゃないかと思っています」

香山「いわゆる脳を鍛えるトレーニングも同じ仲間に入れてほしい」

菊池「ニセ科学が流行するのは、実は科学の問題じゃなくて、もっと広く、二分法的な思考の単純化という世間の風潮があって、そのなかの一つの現象」

香山「効きさえすれば、べつにそれが本当なのかとか、そうじゃないのかとか、そのへんはあまり問わない」「典型的なスプリッティングという原始的防衛なんです」

菊池「温暖化の問題でも、倖田來未ちゃんみたいに『水からの伝言』を信じているお嬢さんが出てきたりして、つながってはいるんです。おそらく彼女にとって、地球温暖化防止はニューエイジ的なセンスなんですね」

香山「温暖化防止は(…)科学的な視点にたったものだけど、それとまたニセ科学的なものがつながっている」

菊池「マーケティングレベルでは(…)、ニセ科学やスピリチュアルにまったく勝てないですよ」「マーケティングを考えなくてはいけないと」

「水からの伝言」→「脳内革命」→「スピリチュアル」→「納豆ダイエット」→「マイナスイオン」→「コエンザイムQ10」→「代替医療」→「地球温暖化」へと緩やかにつながるニューエイジ的なものが確かにありますね。これはいったいなんなんだろうかと思っていたんですが、どうも裏には、マーケティングというものがありそうです。じゃぁ、いったい誰がやってるのか。どうやら、本当の問題はそのへんにありそうです。「不都合な真実」という名のニセ科学!!

信じぬ者は救われる