5区のムフタールへ。ここは、下町気風が残っているところ。毎朝朝市が開かれる。しばらくして思い出した。ここは、最初にParisに行った時に訪ねたところだ。市は全体的に縮小した感じだったが、チーズや肉類、魚介類などの食材を扱う店は昔も今も変わらない。ムフタールは、途中から観光客相手の店が多くなる。こうなるとあまり面白くなくなる。
鳥海さんは、じつはここは中庭が面白いと案内しようとするが、ロックがかかっていてなかなか入れない。ようやく引っ越し中で玄関が木戸があいていたところを発見、お願いして入らせてもらう。確かに、商店街の喧騒と打って変わって、静かな空間が現われた。あまりこういう空間は見ることがない。あえて言えば坪庭に似ている。植生が、小さいながらも寛ぎの空間を演出している。鳥海さんとでなければ、こんな場所があるなんて気がつかなかっただろう。感謝、感謝。
次に地下鉄に乗ってジュシューの構想住宅群を見る。近代主義の洗礼をうけて、20階近い高層ビルが建ち並ぶ。「寒々しいでしょう」と鳥海さんは言うけれど、日本のそれと比較したら、はるかにバリエーションに富むし、第一外壁の意匠がそれぞれ個性的で、日本のと一緒にされたら困るだろう。その中で、建築家のポルザンパルクが担当した街路計画が際立っていた。街路側の壁面の連続性。ボリューム的には、かなり重厚。ぼく的には面白かったけれど。
Austerlitzわきからリヴ・ゴーシュの都市再開発地域をサーベイする。ここは現在三期まで再開発が進んでいる。三期目をやはりポルザンパルクが担当。また、旧製粉工場をリノベして大学に転用したもの、旧圧縮空気工場をリノベした建築学校など、コンバージョン建築の秀逸な建築も多い。
地下鉄で対岸のベルシー地区へ。ここは元ワイン倉庫の跡地利用。公園整備がいい。ランドスケープアーキテクトがつくり出す新たな緑地空間。子供たちがはじゃぎまわっている。ワイン倉庫はショッピングモールとして再生。コンパージョンとしては、大成功。今日は土曜だからかか、ものすごい人出だ。バスチーユから続く高架鉄道路線の下を店舗や工房にした修復・再生事業を見る。上は、路線を緑化し公園として再整備。Parisの新しいスポットだ。