テーマパーク化する日本。日本の都市は、いまやテーマパークのような、安全・安心の人工空間になってしまった。人間工学を追求した果てに生まれた究極のユニバーサルデザイン都市。それこそがテーマパークなのですが、果たしてこれはわわわれの理想とする都市なのでしょうか。たぶん違うでしょう。テーマパーク化する日本というのは、東浩紀さんや稲葉振一郎さんにもっと展開してもらいたいテーマですが、逆に僕は、ビジネスとしてのテーマパークの重要性にもじつは注目しているんですね。なんと反語的な思考! これは、裏切りではありません。
僕が注目するのはナムコのチームナンジャの仕事。彼らは日本で唯一のフード・テーマパークのプロデュース集団です。「横濱カレーミュージアム」にはじまって、「ラーメンスタジアム」「池袋餃子スタジアム」「なにわ食いしんぼ横丁」「アイスクリームシティ」「自由が丘スイーツフォレスト」「明石ラーメン波止場」「東京パン屋ストリート」……、都市のど真ん中のそれもビルの内部にテーマパークをつくってしまう。そして、そのテーマパークのテーマがズバリ「食」なんです。食べることの愉しさを全面展開したフード・テーマパーク。ディズニーリゾート、USJ、ハウステンボスといった巨大御三家の足下にも及ばないテーマパークでありながらも、そこには人間の欲望に直結し、都市というカオスを見据えた仕掛けが満載です。テーマパーク化した日本の内部に、風穴を空ける、反テーマパークとしてのテーマパーク。池袋ナンジャタウン内の餃子スタジアムに復活した名店(すでにない)「安亭」の幻の焼き餃子を食べながら、そんなことをむにゃむにゃ考えてしまいました。