インターシフトの宮野尾さんからラメズ・ナム著『超人類へ バイオとサイボーグ技術がひらく衝撃の近未来社会』を贈呈していただいた。
本書は、書名が示すとおり、遺伝子工学・脳科学・神経工学の進展によって、われわれの心身がどのように拡張されていくのかを実際の成果をもとに紹介した衝撃のレポートだ。その内容は、度肝を抜くものばかり。たとえば、米国防総省DARPAが試みる脳へテレパシーのように思い(イメージ・音声・触感など)を伝える技術。記憶力を数倍にする脳内CREBを増やす薬の開発。遺伝子操作により寿命を200歳まで延ばす可能性のある実験。肌の色をファッションのように一時的に変える技術。脳内にダイレクトに映像を投射する脳内シアター。などなど。以前、NHKスペシャル「立花隆が探るサイボーグの衝撃」をこのブログで紹介した。DARPAで進められていた技術が中心だったが、本書によればそれはほんの一部にすぎない。われわれのこころやからだ全体が、根本から変革されようとしているのだ。そうした潮流は、「トランスヒューマニズム(超人間主義)という考えを誕生させ、すでに「トランスヒューマニスト協会」という団体さえ生まれ、活発に活動をしているという。
人間の能力を拡張していく、その倫理的な是非はともかくとして、現実に今起こっている現状を冷静に見つめ、こうした動向を見きわめることはぜひとも必要なことだ。本書は、そのための格好の資料だといえる。
著者は、マイクロソフトのInternet Explorer とOutlookの開発者のひとりで、バイオやナノテクノロジーなどの先端技術についても造詣が深く、みずからナノテク企業を起こしCEOを務めている。
超人類へ! バイオとサイボーグ技術がひらく衝撃の近未来社会