国際グローバルコミュニケーションセンター(GLOCOM)客員研究員・鈴木謙介さんと原稿依頼の件で会う。著作が出るたびにプロフィール写真の髪形が変っていたが、現在は黒でワイルドな感じ。テーマはお伝えしてあるが、詳細は会ってから詰めましょうということになっていた。それにしても鈴木さん、間髪入れずにしゃべり始める。ぼくが途中で間の手をいれると、それがさらにはずみになっていよいよ止まらない。30分程度の打ち合わせ時間だったが、ほとんど鈴木さんがしゃべっていた。話しながら考えるタイプとおっしゃっていたが、現在のネット環境と実世界の関係を非常にうまく整理していただいた。ネットと実世界のリテラシーについても。
現実進行中のネット/実世界に対して批評がまるで追いついていない。あいかわらが本当の世界があると信じそれを拠り所にして批評言語を組み立てようとするモダニスト。リアルなんてものはないと言い放ちながら、ロジックというフレームワークをいまだに手放せないでいるポストモダニスト。ネット/リアルワールドで起こっていることの実態は、いずれの立場からも解明できないだろう。鈴木謙介さんはその現状をかなり精確に俯瞰できている。そして言語を使ってその両者を架橋しようとしている。今度お願いした原稿(「en」)では、まさにそのあたりについて書いていただくつもりだ。
進めている仕事の色校正が出た。早速クライアントに持っていくと問題発生。写真の差し替え、トリミングの変更。これまでカラー出力したレイアウトを何回も見せているのに。「やっぱり色校で見ないとわからない」って、わかりますよそんなの。結局レイアウトをやり直して再校を出すことになる。なんという無駄なことを。これ、じつは国がらみの仕事で、結局は税金なわけで、何をやっているのだろうかとあきれてしまう。まず実世界こそ、ちゃんと批評したほうがよさそうだ。